大学在学中よりインスタアカウント「ハシログ」を運営し、生まれ故郷である橋本市周辺の情報を発信する稲本貫人さん。SNSの影響力が希薄だった5年前から投稿を続けた結果、フォロワーが徐々に増え、今年6月「ハシログSUMMIT(サミット)2025」を開催しました。地元企業とのコラボも手がける稲本さんに話を聞きました。

地元情報を投稿

──ハシログについて教えてください。

岡田織物とコラボで作った柿のクッション『柿織』を手に。合成繊維を加工して動物の毛皮に似せたエコファーを使用している

 「橋本市を中心とした紀北エリアのグルメやイベント情報を発信するインスタアカウントです。以前から、少子高齢化でイベントなどが減少する町に対し、自分にできることはないかとずっと考えていました。その過程で地元には興味深いお店がたくさんあると気づき、2020年正月にアカウントを開設しました。地道な投稿や知人への呼びかけなどで少しずつ増えていったフォロワーは今では約1万3千人。多くは橋本市や伊都郡で暮らす人々です」

──コンセプトは?

 「『幸せのきっかけ作り』です。ハシログをチェックしたことで、皆さんにちょっとした幸せをお届けできればいいなと思っています」

──6月に開催したイベントも好評でした。 

 「SNSだけでは伝わらない魅力をリアルに体感できる企画として『ハシログSUMMIT(サミット)2025』を橋本市内で開催しました。20歳代のメンバーで構成した実行委員会と一緒に運営し、内容案はフォロワーからも募りました。当日はダンスなどのパフォーマンスや高野口パイルの展示、キッチンカーの出店、和歌山の伝統である餅まき大会を行い、約1千人の来場者を集めました。参加企業や団体同士で横のつながりが生まれたようですし、県北部を盛り上げる起点を作ることができた、ハシログらしいコンテンツだと自負しています」

──ハシログらしさとは何でしょう?  

「最先端のデジタル技術をマッチさせる『新しい風』だと思っています。一方で、遠すぎない距離感でフォロワーとコミュニケーションを取るアナログな一面も大切にしています」

自慢できる町に

──地元企業との協働も活発です。

  サミットは20歳代が運営した

 「業務サポートや講演などを依頼されることが増えました。最近では、国産エコファーの製造・販売を手掛ける会社とのコラボで、橋本市の名産である柿をモチーフにしたクッション『柿織』を作りました。さらに地域や日本を良くしていくためにマーケティング支援の会社を設立しました。地方起業の魅力をSNSなどのデジタルを活用し発信しています」

──ハシログも会社も順調ですね。

 「自分たちだけが突出してもいけません。多くの方が都会に出ていくため、地域でチャレンジ精神旺盛な方が少ない傾向にあります。個性的な人材が活躍すれば、橋本市がもっと元気になるはず。市民が誇りを持って、ふるさと自慢を誰かに伝えたくなるような町になるのが理想です」

──なぜそんなに地元愛が強いのですか?

 「もともと橋本市に対してネガティブな感情を持っていたのですが、ハシログの投稿を通して、素敵な人々に出会い、故郷の素晴らしさに気づきました。今ではこの活動は僕にしかできない!と強く思っています」

──今後の目標は?

 「橋本で培った力を他の地域に展開することにより、日本全体を盛り上げたいと考えています」  

◆ハシログ…インスタアカウント「@hashilog846」で検索

(ニュース和歌山/2025年9月6日更新)