「サインシンガー(手話歌)」として精力的に活動している強力翔さん。「誰一人取り残されないボーダーレスな世界へ」という未来図を描きながら、オリジナルソングをはじめ、誰もがよく知るJ-POP、童謡などを手話の歌で語りかけます。SNSで話題に火が付き、インスタグラムのフォロワーは4万人超。現在はイベント出演の依頼を受け、全国各地を飛び回っています。
歌う喜び 手話で
──いつから音楽を?
高校時代にはバンド活動を、音楽の専門学校ではゴスペルや弾き語りなどを学びました。卒業後は路上ライブやイベントに出演していましたが、当時はただ「歌いたい」「人気者になりたい」という気持ちでした。
──手話との出合いは?
手話が登場するドラマ『オレンジデイズ』がきっかけです。自然な形で手話が交わされる世界に惹かれ、「手話ってかっこいい」と感じたんです。「耳の不自由な方と話してみたい」「もっといろんな世界を知りたい」と思うようになりました。
──本格的に学び始めたのは?
30歳を過ぎたころです。音楽活動を続けるかどうか迷っていた時期に、「やり残したことはないか?」と自身に問いかけたところ出てきた答え…それが「手話」でした。手話講座に通い、サークルにも参加。実際に聴覚障害者の方と交流しながら少しずつ身につけていきました。
──音楽と手話の融合、その発想はどこから?
あるイベントで、耳の不自由な方が手話を使ってパフォーマンスする姿を見て衝撃を受けました。そこから、歌に手話をつけることを始めました。手話で伝えるには、歌詞の意味を深く理解しなければいけません。また、言葉を英語に近い順番にするなど言い換えたりすることもあります。歌詞通りにはいかないこともありますが、意味を変えずに伝えるよう心がけています。
世界で勝負を
──活動が広がったのはいつから?
昨年秋、JR和歌山駅前で行ったストリートライブの動画をSNSで発信すると反響がどんどん広がって、フォロワーが1万人、2万人と増え、現在は4万人を超えています。今年2月には「交通費さえいただければ全国どこへでも行きます」と宣言。北海道から鹿児島まで出かけています。土日祝の予定は来年3月まで埋まっています。
──印象に残っていることは?
幼稚園や学校、福祉施設などさまざまな場所を回りました。「会えてよかった」「感動しました」と言ってくださるその瞬間が何よりの宝物です。手話を知らない方も一緒に手を動かしてくれたり、高齢者施設では体操のように楽しんでくれたり。〝みんなで一緒に楽しめる手話〟を感じてもらえるのがうれしいです。
──今後の目標は?
2つあります。一つ目は、紅白歌合戦の出場です。音楽と手話に出合って私の人生は180度変わりました。人気者になりたいという欲求も、今は「たくさんの人を幸せにしたい」という想いと重なっています。そして、もう一つは、日本語の美しさや日本人の繊細さを大切にしながら、世界中でライブをすることです。紅白歌合戦は海外の人も見ています。それをきっかけにサインシンガーとして、地球上のいろんな国を駆け回ることが夢です。
◆活動予定はインスタグラム「@gourikikakeru」で検索
(ニュース和歌山/2025年11月29日更新)




























