《回答者》
◆消化器外科・一般外科
福外科病院
消化器外科専門医
大腸肛門病専門医
消化器病専門医
福 昭人院長
「立つと足のつけ根がふくらむ」「夕方になると違和感が強くなる」。こんな症状がある場合、そけいヘルニア、いわゆる「脱腸」が疑われます。お腹の中の腸や脂肪が、筋肉のすき間から皮膚の下へ押し出される病気です。痛みが少なく放置されがちですが、自然に治ることはありません。
原因は加齢による筋膜の弱り、慢性的な咳、重い物を扱う仕事、便秘や前立腺肥大による「いきみ」など多様です。男性に多く、左右両側に起きることもあります。
治療の基本は手術です。現在の主流は、メッシュと呼ばれる薄い人工シートで弱った部分を補強する方法で、体への負担が少なく再発予防に優れています。腹腔鏡手術は傷が小さく回復も早い一方、患者さんの体調に合わせて切開法を選ぶ場合もあります。
放置すると「嵌頓（かんとん）」を起こし、激しい痛みや腸閉塞に至ることがあります。足のつけ根のふくらみを感じたら、早めに受診をお勧めします。
（ニュース和歌山／2025年12月21日更新）
