脳性マヒ抱える大東要介さんが自伝

 先天性の脳性小児マヒを抱える和歌山市の大東要介さん(40)が半生をまとめた『クセのあるオトコ 姪(めい)っ子たちの花嫁姿を見るまでは』を4月13日に風詠社から出版した。「『障害があってよかった』という障害者の声をよく聞きますが、私はあえて『障害なんてない方がいい!』をテーマに掲げました」と語っている。

 大東さんは同市出水のピュア作業所代表を務め、2014年に作業所の10年間の歩みをまとめた『ピュアものがたり〜当事者主体の作業所を目指して』を発行。昨春、二次障害により頸椎(けいつい)の手術を受けたのをきっかけに、半生や障害への思いを4ヵ月かけて書き上げた。

 仮死状態で生まれ障害が残った生い立ちや、二次障害に苦しんだ経験とリハビリに励んだ入院生活、40年生きた中で見えてきた自身の障害者観について、4章に分けて書いた。

 特に力を入れた最終章では、「障害を乗り越える」との表現への違和感、自分に障害があることの意味、次世代の障害者へ伝えたいメッセージを盛り込んだ。障害の症状が進行することで、次第に障害を前向きにとらえにくくなるとしつつ、最後には「障害を『良いクセ』と思える社会を目指したい」と結んだ。

 「障害を否定することには反発もあると思いますが、障害を抱える当事者に読んでもらいたい」と願っている。

 四六判、136㌻。864円。Amazonで販売。風詠社(06・6136・8657)。

(ニュース和歌山/2018年5月5日更新)