いじめや貧困層の栄養不足など、心身の健康にかかわる社会的課題の解決を図ろうと、和歌山県立医科大学医学部2年の村田七海さんが、和医大や和歌山大学ほかの学生と団体「WAKA×YAMA」を4月に立ち上げた。活動第1弾として、発達障害をテーマにしたアイデアコンテストを準備中。代表を務める村田さんは「社会課題の解決を図るとともに、県内の中高生や大学生が失敗を恐れず挑戦できる数少ない場でもある。それぞれが将来の目標をかなえるためのステップになれば」と描いている。

和医大・和大生ら団体結成〜活動第1弾 主題は発達障害

 WAKA×YAMAのメンバーは、4大学の12人。現在は発達障害の原因や研究、取り巻く背景や現状について定期的に話し合う。和医大医学部3年の西平大輝さんは「医学の知識を生かせ、一方で和大の観光学部生からイベント運営、教育学部生から中高生の指導について学べる点にひかれました」と話す。

 立ち上げのきっかけは、村田さんが昨年参加した、とある学生プロジェクト。京都大学生らが中心となり、認知症に関する様々な問題解決に取り組むもので、そこで認知症は発達障害をベースにあらわれることがあるとの説に触れた。

 調べると、発達障害は自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症などの総称で、生まれながらの脳機能障害が原因とされる。見た目で分かりづらいため、周囲から誤解を受けやすく、孤立や自尊心の低下を招き、適応障害や不安障害、うつ病などの二次障害を生じることがあると知った。「理解が広まれば当事者が生きやすくなる。中高生に『自分ごと』として深く考えてほしい」とコンテストを発案。実施に向け、他大学に通う友人らに呼びかけ、会を発足させた。

 コンテストでは、和歌山県内の中高生が考えた発達障害者の生きづらさをなくすためのアイデアを競う。応募者は面接を受けた後、4人以下のチームで7月中旬から1ヵ月間発達障害について学び、当事者や支援施設に聞き取り調査する。同会メンバーのほか、和医大や和大の教授など専門家が協力し、アイデアの完成度を高める。8月中旬のシンポジウムで発表し、専門家の評価と会場票で優勝チームを決める。

 メンバーの一人、教師を志す和大教育学部4年の小畑亮介さんは「教育現場では発達障害の児童に対する配慮や周囲の理解は不可欠。アイデアを練るためのサポートを通して発達障害を、また中高生の指導を通して教育について学び、一緒に成長したい」と意欲的だ。

 コンテストのアドバイザーを務める和医大保健看護学部の岡本光代講師は「今年は試行的な取り組みですが、大学生が主体となり、若者が社会活動に参加することで、行政だけでは難しい地域の課題を解決できることもあるのではないか」と期待する。

 今後はいじめや、貧困層の栄養不足などをテーマに活動してゆく計画。村田さんは「社会が抱える課題に対して、若者の柔軟な発想と鋭い感性で、対症療法的でない、根本的解決を図っていきたい」と話している。

 活動資金を募集中。詳細は「WAKA×YAMA SUMMER IDEATHON」。

写真=「発達障害への理解を広めたい」と村田代表

(ニュース和歌山/2018年6月16日更新)