桃や梅、桜などの木に寄生し、枯死させるクビアカツヤカミキリの被害が紀北地域で広がっている。和歌山県内では2017年7月にかつらぎ町で初めて見つかり、今年5月に岩出市、6月に紀の川市でも確認された。分かっている被害本数は110本で、県農業環境・鳥獣害対策室は「飛ぶ虫で産卵数が多く、見つかっている以外に広がっている恐れがある」と危機感をあらわにしている。

 クビアカツヤカミキリは中国から侵入した特定外来生物。幼虫は寄生した木を食い荒らしながら2~3年かけて成長し、6~7月に成虫となって木の外へ出る。繁殖力が強く、発見に時間がかかることから爆発的に増殖している。

 殺虫効果のある農薬はあるが、野外での効果検証には至っていない。県内の被害地域で薬剤の散布が始まっており、JA紀北かわかみの担当者は「他県では深刻な事態になっていると聞く。確実に予防できるとは言えないが、少しでも被害を抑え込めれば」と切望する。

公園や庭木の点検を

 幼虫が出すフンと木くずの混じったフラスが見つかった木は、成虫の飛散を防ぐためネットで覆い、活動しない冬に伐採する。街中の公園や校庭、家の庭にも対象の樹木があることから、県かき・もも研究所は「成虫や幼虫が活発に動く今の時期に早期発見し、対策することが最大の防除になるので、ご協力を」と呼びかけている。

写真=上=成虫のオス(提供=県農業環境・鳥獣害対策室)、下=桃に発生したフラス(提供=県かき・もも研究所)

 

クビアカツヤカミキリ対策研修会

 8月21日㊎午後1時半、紀の川市粉河の粉河ふるさとセンター。被害の実態や防除対策を紹介。無料。和歌山県農業環境・鳥獣害対策室(073・441・2905)。

(ニュース和歌山/2020年7月11日更新)