県の2015年度当初予算。前年比3・3%増の総額5872億円と過去3番目の規模で、「安全と安心」「未来への投資」を柱に、紀の国わかやま国体開催や大規模災害に備えての公共事業に積極的に配分した。今号から3回に渡りテーマ別に詳細を紹介。今回は防災に向けた取り組みを紹介する。
東海・東南海・南海の3連動地震や南海トラフの大地震に備え、県は13年に沿岸市町の津波浸水ハザードマップ、昨年は「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」を作成。10年間で460億円かけてハード、ソフト両面からの整備を進め、死者ゼロを目指す。
15年度はプログラム実施の初年度で、津波対策として、避難困難地域の解消と主要港湾の強化に8億円を計上した。紀南を中心に津波第1波を防ぐ堤防を整備し、分刻みでの津波浸水域と逃げる時間を組み合わせた避難経路を周知する。また、津波による堤防の破壊を防ぐため、堤防のかさ上げや土台の補強工事も行い、本紙配布地域では、和歌山市の和歌浦漁港と、同市と海南市にわたる和歌山下津港で実施。海南では計画中止になった浮上式防波堤に代わり、護岸工事を進める。
沿岸地域の宿泊施設や、病院、幼稚園と言った避難弱者がいる施設への耐震改修補助は、14年度の15億円から90億円へと大幅に増額した。経費のおよそ3分の1を補助し、耐震化を進めることで津波避難ビルを増やしてゆく。
住宅耐震化促進事業には1億3000万円充て、従来の耐震診断や改修工事への補助に加え、最低限命を守るための対策への補助金を新たに創設する。具体的には、すぐに身を守る行動ができない高齢者や障害者向けに、寝ている人を保護するアーチが架けられた耐震ベッドや、1室だけを補強することで全壊から身を守る耐震シェルターの設置費用の一部を補助。市町村を窓口に夏までのスタートを目指す。
このほか、橋の耐震化などに16億円、避難路や誘導灯整備などに2億円、土砂災害対策として3億円計上し、斜面崩壊の前兆現象がある所への対策工事の実施要件を従来の3戸以上から1戸に緩和する。洪水対策は前年度比2億円増の6億6000万円で、県内722ヵ所のため池の改修工期を47年から14年に短縮する。
写真=沿岸部で進む護岸工事
(ニュース和歌山2015年3月7日号掲載)