20150509kounenki

 女性の心身の不調を支える和歌山ろうさい病院(和歌山市木ノ本)の女性専用外来はここ5年間、年間約900人が受診し、最近は予約から初診までが1ヵ月半待ちの状態だ。特に多いのが更年期に当たる40、50代。漢方治療を担う辰田仁美医師(写真)は「体のケアが必要になる年代。体が悲鳴を上げていないか対話してほしい」と呼びかける。

 同外来は働く女性の増加や高齢化で、過労やストレスなど変調を訴える女性が増える中、2003年に県内で初めて同病院に開設された。内科、婦人科など5科あり、医師はじめ看護師らスタッフは全員女性。予約制で初診は15〜30分設け、悩みにじっくり耳を傾ける。患者の約3割が更年期障害の症状を訴える。

 女性の更年期は卵巣の機能が低下する40代後半から閉経を迎える50代で、突然、のぼせや発汗が起こる「ホットフラッシュ」、めまい、イライラ感など様々な症状が現れる。原因は卵巣で作られる女性ホルモンの1つ、エストロゲンの急激な減少だ。

 症状緩和にはホルモン補充療法や漢方薬、サプリメントの摂取があり、近年、エストロゲンと似た構造を持つ「エクオール」が注目されている。大豆イソフラボンと腸内細菌によって代謝されて作り出される成分だが、エクオールを生産できる腸内細菌を持つのは日本人の50%程度に留まる。自分で生産できない患者や更年期症状のある人には、エクオールのサプリメントが有効だ。

 辰田医師は「症状は人それぞれ。この年代は仕事や介護などに忙しく、体とメンタル面の不調に気づけない人が多い。日常をうまく乗り切れないときは、不安を抱え込まず相談を」と話している。

 同病院(073・451・3181)。

(ニュース和歌山2015年5月9日号掲載)