2009年から中止されている片男波干潟の潮干狩り再開を目指し、干潟を管理する和歌浦活性化活動組織と和歌山市は4月23日、純国産のアサリ復活に向けた連携のための調印式を行った。藪豊代表は「復活の過程で子どもたちに干潟を耕す体験をしてもらうなど水辺を親しむ機会を設けたい。専門家のアドバイスを受け、日本一のアサリが採れる干潟に再生させる」と意気込んでいた。

 35㌶と近畿最大級の規模を誇る片男波干潟。絶滅が危ぐされているハクセンシオマネキやワカウラツボなど多彩な貝類や魚類が生息し、毎年初夏には潮干狩りを楽しむ行楽客でにぎわっていた。しかし、天敵のツメタガイやエイなどの食害でアサリが激減していた。

 同組織は、昨年解散した和歌川漁協の漁業権を継承した和歌浦漁協や観光協会などで構成。勉強会を開いたり、干潟を耕したりと模索を続けてきた。今回、水産庁の水産多面的機能発揮対策事業で補助金を獲得し、稚貝を採取して育て、子どもたちに干潟の生き物について学んでもらう教室を開くことになった。これに合わせ市は同組織と協定を結び、事業計画の審査や活動指導、ツメタガイの駆除、エイやチヌの防除状況を調査する。

 潮干狩りの再開は3年後を目指しており、尾花正啓市長は「地元の人だけでなく、京阪神からもたくさんお客さんが来てくれ、初夏の一大イベントだった。希少な生物が息づく素晴らしい環境を守り、少量でも良いのでアサリを復活させて市民が海に親しめるようにしたい」と語った。

(ニュース和歌山2015年5月9日号掲載)