今春卒園の板東真那実ちゃん 3年伸ばし寄付

 病気や事故などで頭髪を失った子どもたちのために、寄付された髪の毛でウィッグ(かつら)を作って提供する活動“ヘアドネーション”。この春、和歌山市紀三井寺の名草幼稚園を卒園した板東真那実ちゃんが3月13日、3年間伸ばし続けた髪の毛を切り、ヘアドネーションに取り組む団体、JHD&Cへ贈った。

 真那実ちゃんは入園した3年前、母の佳奈さんが勤める重症心身障害児対象の児童発達支援・放課後等デイサービスで、病気のために髪の毛が抜けてしまう子がいると知った。寄付しようと髪を伸ばしていた佳奈さん同様、自身も協力を決意。遊んでいるときにからまったり、スイミングキャップがかぶりにくかったりと苦労は多かったが、「この髪を待っている子がいるから」と毎日のトリートメントをかかさず、大切に伸ばしてきた。

 カットの日、腰あたりまで伸びた髪のうち、肩より下の約45㌢を切った。ハサミを入れた海南市鳥居のサロン・ド・エン、花岡友香さんは「〝役立ててほしい〟との思いが詰まっていますね」とにっこり。短くなった髪を鏡で見た真那実ちゃんも「フワフワで軽いよ」と笑顔を見せ、「(寄付した髪は)かわいく使ってほしいな」と願っていた。

 これまで、幼稚園で友達から「何で髪を切らないの?」と聞かれたこともあったことから、卒園前には自ら作ったポスターを持参し、みんなの前で説明した。ポスターには髪の毛を伸ばしている自分と、ウィッグをした笑顔の女の子を描いた。

 佳奈さんは「髪が伸びるにつれ、娘なりに考えていたんだと感じました。小学校に入学し、またたくさんの経験をしていきますが、人の気持ちが分かる子に育ってほしい」と目を細めていた。

写真=手作りのポスターを手に笑顔の真那実ちゃん

(ニュース和歌山/2021年3月20日更新)