絵手紙で和歌山電鐵貴志川線を応援しようと、全国から集まった作品を展示する「絵手紙電車」が運行されている。コロナ禍の中断を経て6年ぶりに復活。自分や知り合いの作品を見るために乗車する人がいるなど、広がりを見せている。
絵手紙電車は11年前、貴志川線の経営危機を耳にした岩出市の絵手紙講師、島本忠生さん(83)が「自分にできることで役に立ちたい」と、妻で同じく講師の佳代子さん(80)と二人で「貴志川線応援絵手紙愛好クラブ」を立ち上げ、発案した。目的は乗客の増加。「自分の作品が展示されれば見に来る人がいるのでは」と考えたのがきっかけだ。2014年の初運行時は1436通の作品が集まり、以降、1500通以上の絵手紙を乗せて5回実施された。
募集は、島本さんが絵手紙仲間を介して全国に呼びかけた。自宅に送られてくる作品を仕分けし、通し番号をつけ、地域別に整理する。すべて展示すると決めているので、縦横の作品をうまく配置するのが一苦労だ。台紙への貼り付けや車内への展示は、「貴志川線の未来を〝つくる〟会」メンバーらの協力を得て行った。
コロナ禍で20年から中断していたが、周囲の要望を受け、6年ぶりに復活。今回は1094通の絵手紙を、中吊りや網棚の上部に展示した。描かれているのはたま駅長や電車をはじめ、野菜や花など身近な素材。「ヘタでいい、ヘタがいい」をモットーとした、思いの伝わる作品が並ぶ。
「貴志川線に乗って作品を見てきたよ」との便りが届くたびに喜びを感じる島本さん。「貴志川線がこれからも存続し、絵手紙電車がその一助となればうれしい」と望んでいる。
同電鐵営業企画課の竹添善文課長は「1000通以上の応募は、それだけの方が貴志川線に思いを馳せてくださっているということ。実際に見に来られるお客様もいて、私たちも励みになります」と話している。
チャギントン電車で1月12日まで実施中。運行スケジュールなど詳細は同電鐵ホームページを参照。
(ニュース和歌山/2025年12月20日更新)


























