故郷への想い 地域貢献に

 紀州漆器のまちとして知られる海南市黒江地区に12月19日㊎、旧紀陽銀行海南支店を改修した文化施設「べっちんさん100年ホール」がオープンした。

 大阪市で舞台幕の制作施工を手がける株式会社ナカヤマが運営。施設名の「べっちん」は漢字で「別珍」と書き、生地の表面を起毛させた同社の看板商品を指す。

ホールを立ち上げた海南市黒江出身の中山一会長㊨と娘の中山房子社長。後方の舞台幕は6種類ある

 黒江で子ども時代を過ごした中山一会長が、ふるさとの活性化を願って建設した。同社は7年前から、登録有形文化財の旧岩橋家住宅を活用したカフェ「べっちんさん」を開いており、歴史的町並みの保存にも尽力している。中山会長は「文化に対する投資は経営的には失敗と言われるかもしれない。しかし、人が集まることで少しずつ賑わいが生まれるはず。長期的な視点で地域に貢献したい」と志を語る。

昨年12月にオープンした「べっちんさん100年ホール」

 建物は2階建て。コンセプトは「小さな大劇場」で、本格的な設備と観客との距離の近さを併せ持つ。1階は紀州ヒノキ製のステージ、グランドピアノ、音響機器、スクリーンなどを備える。演奏や演劇、ダンス、映画、セミナーなど多様な用途を想定し、120人まで収容可能。自社製の舞台幕は別珍素材の緞帳(どんちょう)、歌舞伎幕、引割幕、ホリゾント幕など6種類そろえた。2階は出演者の控室があり、茶道に使える和室も。廊下のステージモニターは、オーボエ奏者でもある中山房子社長の意見を取り入れた。

 「人と人がつながるコミュニティの中心となれるよう、地域の皆様や表現者と対話を重ね、長く大切に育てていきます」と中山社長。学校の部活動や放課後の使用も視野に入れており、「音楽や演奏などに挑戦する子どもたちを応援したい。練習場所に困っている人は、ぜひ声をかけて」と呼びかけている。

 予約と問い合わせは同ホール(https://nakayama100hall.jpまたは電話073・488・8505)。

(ニュース和歌山/2026年2月14日更新)