安全運転できる今から準備を

 安全運転を継続しつつ、免許をしまうタイミングを見極めてもらおうと、紀の川市の貴志川生涯学習センターが地域住民を対象に「高齢者向け運転講習」を開いた。買い物や通院など、暮らしに欠かせない自動車だが、年齢を重ねると身体や認知機能が衰え、事故の心配がつきまとう。参加者たちは「運転を卒業した後の自分らしい生き方」について意見を交わし、考えた。

自動車への依存

「初めて乗った」という人が多かったシニアカーの試乗

 和歌山県警「交通年鑑2023年版」によると、県内で運転免許を持つ65歳以上は約19万3千人。高齢者人口の約63%に上り、男女とも年々増加している。一方で返納者は19年の4459人をピークに減少に転じ、2684人にとどまっている。また、高齢者が第一当事者となる四輪事故の原因は安全確認不足や前方不注意、ブレーキ操作ミスなどが多く、信号無視や一時不停止が続く。

 貴志川生涯学習センター公民館主事の野口八江さん(54)は、運転への不安を口にしつつも返納をためらう高齢者に接し「限られた公共交通や独り暮らし世帯の増加が自動車への依存を高めているのでは」と課題を感じていた。そんな時、へこんで傷だらけになった軽トラックに乗る男性と出会う。足腰が衰え、杖を手放せない状態にもかかわらず「車がなかったら外へ出て行けやんのよ」とハンドルを握る姿を見て講習会を発案。高齢者の運転や返納後の移動について研究する森ノ宮医療大学の鍵野将平助教(36)をはじめ、県作業療法士会と県理学療法士会に協力を依頼し、実現にこぎつけた。

自分らしい生活

運転シミュレーターを体験する参加者(左から3人目)

 昨年9月から12月まで計4回、貴志川地区公民館講座として実施。「安全運転延伸」と「運転終活」を組み合わせた内容で、鍵野助教の講話、体操、ヒヤリハットマップ作成、体力・認知能力測定などをそろえ、互いに意見を出し合うグループワークを取り入れた。60歳代から80歳代の25人が参加した。

 最終日の12月20日㊏は県のノーマイカーデーにちなんで、紀の川市貴志川町の西貴志コミュニティセンターまで車を使わず徒歩や自転車、電車などで集合した。山本ひとみさん(80)は朝9時半に自宅を出発。JR和歌山線や和歌山電鐵貴志川線を乗り継ぎ、約2時間かけて到着したと発表すると大きな拍手が起こった。また、運転シミュレーター体験やシニアカー試乗も行われ、全員で操作や乗り心地を確認した。

 夫婦で参加した亀俊秀さん(75)は「毎回いろんな学びがあって、運転に気をつけるポイントを知ることができた。参加して良かった」と納得した

(ニュース和歌山/2026年2月14日更新)