本物に触れる体験と機会提供
世界的な楽器メーカー、フェンダーが軽音楽部の活動を支援するプロジェクト「Fender Youth Music Program(フェンダーユースミュージックプログラム)」の第1回実施校に県立和歌山高校(和歌山市新庄)が選ばれ、1月27日㊋、同校で贈呈式が行われた。憧れのギターを手にした生徒たちは目を輝かせながら、弦の張りや音の響きを確かめていた。
顧問の願い届く
軽音楽部を「次世代の音楽文化を育む土壌」と位置づけるフェンダーミュージック(東京都渋谷区)が、機材とアーティストによる特別レッスンを無償で提供。楽器不足や指導者不在など課題を抱える学校現場を同社が支援し、音楽環境の充実を目指す。
部員13人の県立和歌山高校総合音楽部(軽音楽部)では、経済的な理由から自分の楽器を持てない生徒もおり、顧問の高橋昭仁教諭が提供した私物の〝お下がり〟が使われてきた。日ごろから「生徒には質の高い『本物』に触れてほしい。地方にいても、プロの音楽への向き合い方を体感させてあげたい」と願っていた髙橋教諭。昨年6月、同プロジェクトを知り、厳しい現状と切実な思いを綴って応募したところ高い評価を得て、全国約150校の中から北海道の高校と共に選ばれた。「田舎の学校が指名されると思っていなかったので驚くと同時に身が引き締まりました」と振り返る。
イベントは「Fender Youth Music Program チャリティイベント─和歌山県立和歌山高等学校」と題し開催。同社から贈られたギターとベース10台、アンプ2台、周辺機器など約180万円相当の機材がステージに並べられ、生徒ら約100人が見守った。贈呈式でアジアパシフィック統括ジョルジオ・ゲリーニ次期社長は「私たちの使命は、音楽の世界を探検しようとする若い人たちを心から応援することです」と挨拶。住岡篤校長と同部副部長の原田綾音さん(2年)にギターを手渡した。
続いて、シンガーソングライターの音羽さんが登場し、『青春コンプレックス』などを披露。手の届きそうな距離で繰り広げられる迫力ある演奏に生徒たちは身を乗り出し、大いに盛り上がった。
プロが直接指導
後半は音楽室で、音羽さんによる直接指導が行われた。緊張しながらも伸びやかに歌い、演奏する部員たちに「かっこいい!」と声援を送り、「スローな曲ほど16分音符を意識して」と具体的にアドバイス。最後には音羽さんも加わり、全員でスリーコードセッションに挑戦し、ライブ会場のような熱気と高揚感に包まれた。
憧れのジャズマスターを手にした西尾衣菜さん(1年)は、「見た目が好きで、複雑な機能を追求するのが楽しい。音羽さんのように大きく動き回るスタイルを真似したい」。林星明さん(1年)は「新しいギターは弾きやすさが全然違う。バンドのみんなで一つになって演奏するのがこんなに楽しいんだと改めて知りました」と声を弾ませた。
髙橋教諭は「アーティストが人生をかけて作った音を目の前で聴けたことは、生徒にとって計り知れない意義があったと思う。いただいた楽器は学校で大切に預かり、県内の選抜バンドで活用するなど、多くの生徒が『本物』に触れる体験と機会の場を広げていきたい」と話している。
(ニュース和歌山/2026年3月7日更新)



























