お好み焼きやトンカツなどにかけるソース。紀の川市桃山町調月に工場を構えるハグルマは、日本最古と言われる「三ツ矢ソース」を手がける老舗メーカーだ。昔ながらの味を守る生産課の林昭伸課長(52)は、「伝統の味を守りつつ、時代に合った商品を生み出して、食卓に〝おいしい〟を届けます」と情熱を注ぐ。

125年の伝統

──羽根がついた車輪マーク。食卓でおなじみのソースです。

 「1894年に越後屋産業という会社がウスターソース(三ツ矢ソース)の製造、販売を始めたのが発祥です。日本全国だけでなく中国や朝鮮にも出荷していました。当時は調味料といえばしょう油。発売当初は『洋式しょう油』と呼ばれ、洋食料理の普及とともに広く愛好されるようになりました」

──125年も前から伝統の味を守ってきたんですね。

 「日本で一番歴史のあるソースと言われ、ホーロータンクでの製造が主流になった今も、木樽を使った昔ながらの製法を続けています。熟成期間は3ヵ月以上と一般的なソースの約3倍。作りたてはサラサラの液体ですが、木樽で3ヵ月寝かせることで、ややとろみがかった、色つやの良い、まろやかでコクがある、香りの良いソースに仕上がります」

地元産品生かす

──トマトケチャップも人気です。

 「加熱、加工作業を素早くし、密封までの時間を極力短くすることで色みが良くなります。トマトの濃縮率とリコピンの含有率が高いため色鮮やか。味は、仕入れたトマトの量、酸度、糖度に合わせ、加える調味料の配合を調整します。トマトの味がしっかりしていて、『料理にコクが出る』と選んでくれる料理人が多いです」

──種類が豊富です。

 「糖質60%、塩分50%を抑え、食物繊維をたっぷり含んだものや、有機トマトで作ったもの、食塩を一切使わないものを取りそろえ、健康志向の人に安心して食べてもらえます。ピザ用やパスタ用など用途に合わせたトマトソースもあります」

──ドレッシングやポン酢も手がけます。

 「大阪から紀の川市へ工場を移転した1972年以前から、和歌山や泉南で材料を仕入れてソースを作ってきた会社で、地元農家に支えられてきました。和歌山産南高梅やみかんを使ったドレッシング、柚子やジャバラのポン酢を作っていて、いずれも素材の味を生かすため化学調味料は使わず、さわやかな柑橘の香りを楽しめます」

──今後は。

 「時代と共に多様化する嗜好(しこう)に合わせ、年に何品かは新商品を出しています。特に和歌山は柑橘をはじめとしたフルーツ王国。これらを使った商品開発を続けつつ、伝統の味を変わらず守っていきたい」

【ハグルマ】
紀の川市桃山町調月1758-8
☎0736-66-3388

(ニュース和歌山/2019年2月27日更新)