サーフィンのメッカ、和歌山市の磯の浦海水浴場近くでカフェとゲストハウスを兼ねた楓荘を営む川田英治さん(38)は、手に装着して、手軽に波乗りを楽しめる小型サーフボード「ハンドプレーン」の普及活動を始めました。その魅力と特徴を聞きました。

 

板はA4サイズ

──初めて見る形の板ですね。

 「自分の体で波に乗るボディーサーフィンをするための道具です。ハワイやカリフォルニアなどサーフィンが盛んな場所では人気なのですが、日本ではまだまだ認知度が低いので、磯の浦でも広がってほしいと思い、普及に向けての取り組みを始めました」

──出合いは?

 「茅ヶ崎でハンドプレーンを製作している方が昨年11月、うちのゲストハウスに宿泊したのが縁で存在を知りました。早速体験したところ、サーフィンとは違い、直接波を体に受ける感覚が新鮮で面白いと思いました。普通のサーフボードと違って、A4サイズで軽く、カバンに入れて持ち運べ、旅先でも手軽にできます。また、波を見極めたり、つかむ感覚を養え、サーフィンの練習にもなります」

──どう使うのですか?

 「利き手に装着し、ピンと腕と体を伸ばした状態で使います。浜辺に体を向け、波が切り立ち始めたら海底をけって勢いをつけます。足につけたフィンでスピードを保ちながら利き手方向に泳ぎ、体を波に乗せると自然と滑っていきます」

 

海とたわむれて

──普及に向けてどんな取り組みを?

 「今年5月にワークショップを開きました。製作キットの桐材を自分好みに削り、これを使ってボディーサーフィンを体験してもらいました。サーフィン未経験者が大半でしたが、波に乗る感覚を楽しめたと感想をもらい、マリンスポーツに縁遠かった人にも受け入れられると感じました」

──なぜ磯の浦にカフェとゲストハウスを?

 「新宮市出身で、幼いころから海に親しんできました。10年前に父が営む貿易会社を引き継ぎ、仕事で訪れたフィリピンでスキューバダイビングやサーフィンに魅了されました。海に入ると重力から解放され、最高の気分転換になります。仕事をしながら大好きなサーフィンをする方法を考え、当時よく通っていた磯の浦で、2017年に楓荘を始めました。海外のお客さんも多いですね。サーフィンが1年中でき、田舎過ぎないところが魅力です」

──今後は?

 「ハンドプレーンを使ったボディーサーフィンを通じ、海とたわむれる楽しさを知ってほしい。磯の浦では海水浴エリアでできるので、サーファーと接触する心配がありません。磯の浦でサーフィンを根付かせてくれた地元の方に敬意を表しつつ、面白いことを紹介していきたいです」

◇    ◇

 ハンドプレーン製作キットは7560円。楓荘(073・499・8246)。

(ニュース和歌山/2019年8月3日更新)