ニュース和歌山の人気四コマ漫画「和歌山さんちのハッサクくん」。海南市出身の著者、いわみせいじさん(59)がこれまで掲載した1500を超える作品から、264本を選んで一冊にまとめ、傑作選新装改訂版として2月17日㊊に出版します。ハッサクくん一家を通してあったかい笑いを届け続けるいわみさんに話を聞きました。

 

平成から令和へ

──連載開始が1989年。31年目に出版することにしたのは?

 「連載を始めてちょうど30年だった昨年は漫画家生活40周年の節目でもあり、年末には大桑文化奨励賞をいただきました。その賞金を和歌山に関連したことに使おうと考え、故郷の地方紙、ニュース和歌山さんに掲載しているハッサクくんの単行本刊行に至りました。実は連載開始から10年たった1999年に傑作選を出しています。その傑作選に載せた236本と、この10年間に描いたものから選んだ28本のカラー作品合わせて264本を収録しています」

──改めて読み返してみて、感じることは?

 「まず、『昔は絵、下手くそやったなぁ』ということ(笑)。良いように解釈すれば、『それだけ長い間連載してきたんだなぁ』とも言えます。そう思えば、少し感慨深くもありますね」

──2月15日の掲載が1563回目。数ある作品の中で特に思い出深いのは?

 「単行本の冒頭に載せた『令和』のネタですかね。連載がスタートしたのが平成元年の3月15日。そのハッサクくんと共に新元号を迎えることができました。何か一つの作品が思い出というより、『移りゆく時代をハッサクくんと一緒に歩んできた』ことがうれしいですね」

31年、自然体で

──連載してきた31年の間で変わったことは?

 「私自身が作品を変えようとはしておらず、自然体で描いているつもりです。ただ、読み返すと昔のハッサクくんの方が元気ぶりがいいですね。キャラクターたちが生き生きしているように感じます。作者が若かったせいですかね」

──以前、「ハッサクくんが勝手に動いてくれるので、ネタに困らない」とお聞きしましたが。

 「作者高齢化に伴い、ネタに困ることが増えています(笑)。今後、ハッサクくんがどんな活躍をするのか、未来のことは私にも分かりませんが、ハッサクくんが元気であれば、私も元気!! ハッサクくんがこれからも楽しい時間を過ごさせてくれると期待しています」

──最後に読者へ一言。

 「漫画家以外に、寄席で漫画ライブショーを行ったり、大阪芸術大学客員教授として講義したり、漫画を通した国際文化交流に力を注いだりもしてます。どれも私一人ではできず、必ず相手が必要です。ハッサクくんの連載もそう。皆さんがおられて初めて成り立ちます。今後とも応援してくだされば、ハッサクくんは令和の時代も元気に駆け回ることでしょう」

 

『和歌山さんちのハッサクくん 傑作選新装改訂版』

 A5判、160㌻。1320円。アマゾンで販売。

(ニュース和歌山/2020年2月15日更新)