今回は動物の特性や賢さ、身体的特徴を生かしたトレーニング、簡単にいうと、「見せる芸」を紹介します。

 まずは、飼育員との信頼関係で成り立つ動物、紀州犬の皐月(さつき)と絢芽(あやめ)です。2頭は道具を使った「ハードル」と「輪くぐり」に挑戦しています。感情を共有できる動物なので、人が犬と一緒にトレーニングを楽しみ、できたことを心から喜び、褒めるの2つを心がけています。常に全力なので、10分ほどで飼育員がヘトヘトになりますが…。皐月は「ベルならし」、絢芽は「ボールキャッチ」の一発芸を習得済みで、皆さんに披露する日が楽しみです。

 一方、飼育員との信頼関係だけでは成り立たない動物のトレーニングはどうでしょう? 当園では、ヤギやルリコンゴウインコ、メンフクロウなどで、「胃袋をつかむ」ことが重要です。

 ヤギの場合、良いことをした時にエサを報酬として与える訓練をします。使うのはクリッカーという音が鳴る専用道具で、「GOOD!」と褒める言葉と同じ意味を持ちます。「音が鳴れば報酬がもらえる」「なぜクリッカーが鳴ったのか」「これをしたからだ」と自ら考え行動します。なんて頭がいいんでしょう! ただし満腹になるとプイっとどこかへ行ってしまうことも…(笑)。今は「台に乗る」「回れ」「立って」「股の間をくぐれ」などなど、少しずつ頑張って覚えています。

今回の担当 武田美奈代さん

 ルリコンゴウインコとメンフクロウの場合は、体重管理が最も重要です。重すぎや満腹では飛んでくれません。ベスト体重を細かく記録し、トレーニングに臨みます。現在は「合図一つで人の腕から腕へ飛ぶ」「飛んでいる最中に輪をくぐる」に挑戦中。人の頭上すれすれに飛ぶ姿はスリル満点です。

写真=ヤギだって2足歩行できるんです

(ニュース和歌山/2022年1月8日更新)