昨年、創業100年を迎えた岩出市の「増田米菓株式会社(高砂アラレ)」。3代目の増田充裕さんは、職人としての顔に加え、梅に山椒、チョコと、さまざまな味を生み出すアイデアマンの側面を併せ持つオールラウンダーです。持ち前の朗らかさと実直さで、日々おいしさと安心を追求し続けます。

守り、育てる伝統の味

──和歌山で米菓は珍しいですね  

「原点は祖父が戦時中に帰郷して作った町工場。祖父は元々、横浜の米菓工場で働いており、祖母の実家が米屋だったことからこの道を選んだようです。渡米していた親類のつてから当時は輸出がメインで、味も醤油のみ。真偽はわかりませんが、『アメリカに渡った最初のあられはうちのだ』と父は語っていました」

──いつから家業に就かれたのですか? 

「子どもの頃から継ぐものだと思っていましたが、父の体調がよくなかったこともあり、学生時代から手伝うように。そのまま就職して40年近くになります」

──こだわりは  

「1つは素材のおいしさ。うちで使っているのは、滋賀の「羽二重糯(はぶたえもち)」と佐賀の「ひよくもち」というブランド餅米。物価高の影響は当然ありますが、高くてもこれでいくと決めています。もう1つは、昔と変わらず杵で餅米をつくこと。このひと手間で風味が大きく変わるので、いくら効率化が進もうと譲れません」 

――多彩な味はいつから?

 「私の代になってからですね。最初は『いろんな味で作ることはできないだろうか』という興味でサラダ味を作ったのが発端です。そのうち要望を受けて、鞆渕の黒豆や清水の山椒、湯浅の醤油と地域食材を使った商品が増えました。今ではおいしいものを食べたら『これがあられになったらどうかな』と考える癖がつきました。最近の人気はリニューアルしてガーリックのパンチをさらに効かせたペペロンチーノです」

街に自慢を作りたい

――いいあられとは?

 「製法こそシンプルですが、気候や温度、湿度で餅のつき加減や焼き方を微妙に変えています。いい焼き具合のものは香ばしく、満腹でもつい手が伸びます。昔からあられがおやつでしたが、飽きることは今まで一度もありませんでした」

100周年記念限定品「百寿」(3,024円)。米の形の箱に人気の9種を詰め合わせている

――100周年を迎えて

 「父の代にはオイルショックやドルショックで大変な時期もありました。それでも続けてこられたのは周りのおかげ。今まで働いてくれた全ての従業員さん、助けてくれる人たち、そしてお客様。私自身本当に人に恵まれ、この節目の年を迎えられたと感謝しています」

――今後の目標は?

 「私の原動力は『自分の住む街に自慢できるものを作りたい』という想い。人の体に血が流れているように、人の作るものにも血を入れなければいけない。ひと手間を惜しまず血の通った〝気餅(きもち)〟を届け、少しでも生まれ育った岩出のお役に立てたらうれしいです」

【増田米菓株式会社 (高砂アラレ)】
岩出市岡田999-1
◇電話 0736-62-2312
◇(営) 9:30〜17:00
◇㊡ 土曜、日曜、祝日

【根来山荘 和カフェ TAKASAGO】
道の駅ねごろ歴史の丘 岩出市根来2020-1
◇電話 080-7676-4760
◇(営) 10:00〜17:00
◇㊡ 火曜

(ニュース和歌山/2026年2月21日更新)