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 南海和歌山市駅周辺のまちづくりを考える取り組みが動き始めた。市駅地区の商店街連盟、自治会と和歌山大学観光学部の永瀬節治研究室が昨年秋に結成した市駅まちづくり実行会議。これまで2回のワークショップを行い、商店主、住民の目線と学生の意見を突き合わせ、活性化の具体策を探っている。駅前通りや市堀川、和歌山市民会館の活用など様々なアイデアが練られ、参加者は「次世代のため魅力的で誇れるまちを目指したい」と望んでいる。

多様な視点でプラン練る

 市駅は同市の玄関口として1903年に開業した。和歌山城など史跡や、紀の川、市堀川といった風景に恵まれ、戦後は商業地として栄えた。しかし、ピーク時の昭和40年代には54000人を数えた1日の乗降客が近年は17000人程度に減少。商店や宿泊施設も減り、昨年8月には髙島屋が撤退した。

 都市・地域デザインを専門とする永瀬講師のゼミは、一昨年秋から駅周辺の調査を始めた。昨春に市駅で歴史パネル展「市駅の鼓動、都市の記憶」を開催。8月には髙島屋閉店に合わせ、未来のまちを考えるパネル展を行った。

 展示を目にした市駅地区商店街連盟の森下幸生会長が学生に声をかけ、一緒にまちづくりを考えることを提案し、昨年10月に市駅まちづくり実行会議が結成された。

 会議の特徴は、これまで活性化に努めてきた商店街連盟に加え、城北6地区自治会が加わり、商店主、住民、学生が互いの立場から意見を出す点だ。城北地区自治会20区会長の木村一夫さんは「人の流れや景観など課題に思うことはあった。難しい面はあるが、話し合うのは良いこと。地区の歴史を生かせればと思う」。森下会長は「『まちづくりはよそ者、若者、ばか者が進める』と言われるが、自分たちでは気付かない意見が出てくる」と期待する。

 昨年11月の第1回ワークショップに住民や商店主34人が参加。学生が考えた駅前空間の魅力アップ案や、市堀川の活用策など5案を紹介した。そのうえで課題点を語り、景観や歴史資産をあげた。続く1月30日の第2回ワークショップにも約30人が集まり、「生活」「観光」「景観」「交通」のテーマに分かれ意見交換。交通の班では和歌山電鉄の乗り入れ推進、生活の班では「商店に若者が出店し、起業しやすい環境を整備するべき」などの声が出た。

 景観の班に参加した地元の垂井一さんは「県外に出ている人が戻って住みたくなるまちづくりが進み、広い意味での駅前再開発につながれば」と望む。司会を担当した和大3年生の小ノ澤良さんは「地元の方からは現状に変化を求める強い思いを感じます。その思いを和大生が媒介となって実現する会議にしたいですね」と語る。

 春には第3回のワークショップを計画。永瀬講師は「実践できるアイデアを拾い、行政の計画に反映できる住民案をまとめたい。また自分たちはそれに対し何ができるかアクションプランを考えます」と話している。市駅地区商店街連盟(073・423・3136)。

写真=地図を広げて課題を出し立った

(ニュース和歌山2015年2月21日号掲載)

鷺森から歴史発信  孫市まつり

榎木孝明さん監修野外劇

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 戦国時代の鉄砲隊、雑賀衆を率いた雑賀孫市を打ち出した孫市まつり。今年は時代劇再生を前面に出し、3月29日(日)午前11時〜午後4時、和歌山市鷺ノ森の鷺森別院で開かれる。

  11回目となる孫市まつりは、武者行列や鉄砲隊演武、野外劇が人気を集める。今回は、時代劇再生を訴える俳優の榎木孝明さんが野外劇の監修を担当。織田信長の紀州攻めに抵抗する雑賀衆の物語を、東映の俳優や紀州剣劇隊らが演じる。

 戦勝太鼓、雑賀踊りと古来から伝わるものを再興させる計画で、監督を務める東映の中野広之監督は「500年前の思いをぶつけるつもりです。和歌山は時代劇に使える歴史豊かな場所が多い。この場所を舞台にドラマをつくりたい」と訴える。

 このほか、歌謡ショーやゆるキャラショーも。孫市の会の森下幸生会長は「まつりがある時もない時も市駅前、鷺ノ森に来てもらえるようになるのが目標」と思い描いている。孫市の会(073・423・3136)。

(ニュース和歌山2015年2月21日号掲載)