海南市で開かれている「紀州海南ひなめぐり」の実行委が贈った7段飾りのおひなさまが、カンボジアの児童養護施設「スナーダイクマエ孤児院」に到着。海の向こうでも女の子たちの健やかな成長を見守っている。
世界遺産のアンコールワットで知られるシェムリアップにある同施設。代表を務めるメアス博子さんが海南市出身で、ひなめぐり実行委が「日本文化にふれてもらいたい」とプレゼントした。
人形が到着したのは2月27日。子どもたちが学校に行っている間に、メアスさんとスタッフが女子部屋と男子部屋の間にある広間の女子部屋入り口に飾った。カンボジアは4月末までが酷暑期と言われる1年で最も暑い時期。メアスさんは「私自身、ひな飾りをしたのが25年以上ぶり。この暑さの中でおひなさまを見るのはとても不思議な気分です」と笑う。
帰宅した子どもたちは人形に興味津々で、ソッチ・スレイメッちゃん(7)は「お内裏様とおひなさまは怖くないけど、下の人たちは怖い」、ルーァ・マカラーちゃん(7)は「私は全部きれいと思う
!」。また、ディット・カンさん(19)からは「なぜこの人形を飾るの?」と質問が出たそうで、メアスさんが「女の子が健康に成長するようにとの願いを込めて、1年に1回、おまつりするのよ」と説明した。
カンボジアへ贈ろうと発案した実行委の西谷多賀子さんは「長旅を終えたおひなさまが子どもたちに囲まれ、ホッとしている姿に感無量です。いつかの機会に、海を渡ったおひなさまとカンボジアで再会できることを夢見ています」。
今回、輸送費については、海南ひなめぐり会場のJR海南駅と駅前商店街内ファーストガーデンに募金箱を設置し、寄付を呼びかけた。メアスさんは「子どもたちも日本の皆さんの温かい気持ちを感じ、他人への思いやりの心を育むきっかけになると思います」と喜んでいる。
紀州海南ひなめぐりは3月15日(日)まで、JR海南駅や黒江地区、温山荘園など市内各所で。募金も同日まで受け付ける。
写真=広間を彩る7段飾り。1番右がメアスさん
(ニュース和歌山2015年3月7日号掲載)