和歌山市和歌浦で「自然の恵み、届けます」をキャッチフレーズに、海苔一筋・創業109年を迎える北畑海苔店。現在は4代目博史さん(67)がのれんを守ります。パリパリ食感がやみつきになる味付け海苔「パリッ子」は、昔ながらの食卓の定番。誕生のきっかけや味のこだわり、パッケージに描かれた野球少年について伺いました。
海苔一筋の百年企業
北畑海苔店は大正5(1916)年に初代・長左エ門さんが店を構えました。かつて和歌浦は海苔の名産地であるとともに、旅館が軒を連ね、多くの観光客で活気づいていました。そんな和歌浦の様子から、初代が海苔の販売に目を付けて商売を開始。関東まで足を伸ばして売り歩き、北畑海苔店の名を広めました。
誕生から45年食卓の定番
今や看板商品に成長した味付け海苔「パリッ子」は昭和55(1980)年ごろ、販売が始まりました。当時は箕島高校が公立高校初の春夏連覇を成し遂げ、県内で野球ブームが巻き起こっていました。そこで2代目が「皆が健康で、スポーツができる体で過ごしてほしい」と、野球少年をあしらったパッケージを考案しました。 商品名の通り、パリパリとした歯切れの良さと、ご飯が進む甘塩っぱい味が特徴です。「パリッとした歯触りがくせになる。ご飯に巻かず、食感を楽しみながら食べる人も多いと聞きます」と博史さん。日常の食卓やギフトとして親しまれる〝和歌山のソウルフード〟のひとつになりました。
変わらぬ味守り続ける
「45年間、使う調味料や配合は全く変えていません」。旨味の元となる出汁をはじめ、みりん、しょうゆなど、味付け海苔のために開発して以来、受け継がれる材料とレシピを頑なに守ります。「配合は企業秘密です。現在その比率を知っているのは、私と3代目社長の息子である甥だけ」。この努力の結果、「いつも食卓に同じ味がある安心」を生み出しています。商品の味付けは全て同じで、価格は海苔の品質の違いで決まります。 近年は温暖化や海の栄養分の減少により、海苔は不漁続き。仕入れ価格も高騰しています。海苔は自然の恵みであり、環境の変化に大きく左右されるため、品質を落とさない工夫が欠かせません。「海草である海苔は、食物繊維やミネラルが手軽に摂取できます。子どもからご高齢の方まで、皆さんに食べてもらいたい商品です。変わらぬ味をこれからも届けていきます」
北畑海苔店
和歌山市和歌浦中2丁目1-23
電話 073-444-0338
営業時間 8:00~17:00
㊡土、日、祝
(ニュース和歌山PLUS126号/2025年9月26日発行)
※記事は2025年9月26日時点です。
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