《回答者》
脳神経外科
貴志川リハビリテーション病院 亀井 一郎院長

 その症状は、パーキンソン病が疑われます。

 パーキンソン病という病名は、しばしば耳にされると思います。これにかかると「立ち止まると動けなくなる」「動作が鈍くなる」「小刻み歩行になり、容易に転倒する」「声が小さくなる」「表情が乏しくなる」「手がふるえる」といった症状が徐々に進行し、日常生活において支障をきたすようになってきます。60歳以上では100人に1人程度がこの病気を発症するといわれています。

 パーキンソン病は、脳内のドーパミンという物質が年齢平均より早く減少し、神経伝達が円滑に行われないことで、全身の筋肉がアンバランスに硬くなってきて、先述のような症状を現します。CTやMRIでは脳にこれといった病変はみられず、診察室での観察が診断の決め手となります。

 昔は、パーキンソン病にかかると動けなくなり、やがては寝たきりになって没してゆくといった経過をたどりました。しかし現在では、様々な薬が開発され、上手に処方すれば全く症状がなくなったり、軽快することがわかっています。また、「ふるえ」以外の症状は、適切なリハビリテーションも有効です。

 お悩みの方は、脳神経外科等を受診し、治療を受けて下さい。

(ニュース和歌山/2020年8月22日更新)