《回答者》

◆循環器内科
みなかたクリニック
南方 常夫院長

 ご相談者は水様性下痢が続き、整腸剤などで治療を受けているにも関わらず、なかなか治らないとのこと。大腸内視鏡検査では異常がなく、便培養は陰性、さらにクロストリジウム・ディフィシル毒素の検出結果も陰性だったということです。

 慢性下痢症の多くは、非感染性です。感染症および潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患、過敏性腸症候群に代表される機能性腸疾患が除外されれば、次に、薬剤性の下痢症の可能性が考えられます。

 お話を伺いますと、ご相談者は以前からリウマチなどがあり、胃薬(プロトンポンプ阻害薬)、鎮痛薬、その他数種類の薬を内服されているとのこと。薬剤起因性collagenous colitis(CC=日本ではコラーゲン蓄積大腸炎、膠原線維性大腸炎と訳される)が考えられます。CCは、大腸内視鏡検査で特徴的な縦走潰瘍を認めることもありますが、画像所見では異常がないことも多く、顕微鏡的大腸炎microscopic colitis(MC)という疾患に含まれます。確定診断には生検で膠原線維束(コラーゲンバンド)を認めることが必要です。

 治療は、原因となっている薬剤を中止することで改善します。主治医とご相談ください。

(ニュース和歌山/2020年9月27日更新)