《回答者》

外 科
楽クリニック
藤田 定則院長

 脱腸は診断を受けた時点で手術するのが原則です。時間の経過とともに徐々に腫れが大きくなり、男性では少しずつ睾丸の方向に腫れが下がってきます。長年放置していると、袋状になった腹膜の中に入った腸などが癒着することがあり、治療が難しくなります。まれですが、袋に入り込んだ臓器が戻らなくなり、血流が悪化し、腸などが腐ってしまう嵌頓という状態になることがあります。嵌頓を起こすと緊急手術が必要です。

 治療は、入り込んだ腸などの臓器を元に戻し、袋を閉じます。原因となった弱った部分には、体に無害な網状のシートを入れ、補強します。

 手術の時間は60分前後で、眠っている間に終わります。直後から歩行が可能で、痛みに対しては、飲み薬や坐薬を使います。強力な痛み止めを使用することはありません。日帰り手術を行う施設も増えました。

 脱腸を疑ったらそのままにせず、外科の受診をお勧めします。

(ニュース和歌山/2020年10月24日更新)