《回答者》

◆循環器内科
みなかたクリニック
南方 常夫院長

 HAEとは、遺伝性血管性浮腫という病気です。ご相談者は、以前から子宮内膜症を治療していて、時々腹痛があったり、また、顔や唇が腫れたりすることがあったとのことです。

 HAEは、全身のあらゆる場所に腫れやむくみを生じます。消化管が腫れると激しい腹痛が起こり、吐き気や嘔吐、下痢の症状が現れます。のどが腫れると呼吸困難や窒息することもあるので、症状に応じて救急車を呼ぶ必要があります。

 原因は、免疫系に関する物質「補体第一成分阻害因子(C1インヒビター)」の遺伝子異常による、C1インヒビターの欠損または機能障害です。腫れを起こす物質のブラジキニンが過剰生成され、血管から外に水分が漏れ出しやすくなり、腫れやむくみを引き起こします。5万人に1人の有病率といわれています。

 呼吸困難や激痛などの発作時には、ブラジキニン受容体阻害薬やC1インヒビター製剤を使用します。HAEによる激しい腹痛は、虫垂炎などの急性の腹痛と間違えられ、不要な開腹手術をされてしまうこともあります。こうした誤りを防ぐため、自分がHAEであることを医師に伝えるカードも用意されています。主治医とよくご相談ください。

(ニュース和歌山/2020年11月28日更新)