◆外科

楽クリニック 藤田 定則院長 

 

 

 A.  足に血管のコブがある下肢静脈瘤の症状には、こむら返り、足のだるさ、むくみ、色素沈着(シミ)、かゆみ、発赤、皮膚の硬化などがありますが、なかには足の痛みを訴える患者さんもいらっしゃいます。

 下肢静脈瘤は、静脈内の血管の弁が壊れたことが原因で発症します。足で使われた血液がうまく心臓へ戻れず、血管内に溜まってしまうために血液の流れが悪くなります。このとき、血管内に血液の固まり(血栓)ができることがあり、血管を細くさせたり詰まらせたりします。これを「血栓性静脈炎」といいます。静脈とその周囲の皮膚が炎症を起こすため、膝から下の静脈に沿って赤く腫れ、痛みを伴うのが主な症状です。

 痛みが数㎝ほどの範囲に限定されるときは、湿布薬や鎮痛薬で経過観察します。しかし、心臓に向かって少しずつ痛みが広がる場合があります。このようなときは、早めに医療機関を受診してください。

 また、急に足全体が腫れて痛みが強くなってきたら、それは深部の静脈(深在静脈系)に起こった「深部静脈血栓症」と考えられます。この場合は重症化しやすく、肺塞栓(いわゆるエコノミークラス症候群)の原因となります。ただちに診察を受けてください。

(ニュース和歌山2015年5月23日号掲載)