◆脳神経外科
今村病院 越道 慎一郎先生
Q. 60歳の主婦です。私の祖母と父は、脳卒中が原因で亡くなりました。自分もこれから年をとっていくと、祖母や父と同じように脳卒中で死んだり、後遺症が残ったりするのかと思うと、とても心配です。予防法があるのなら、ぜひ教えてください。
A. 脳卒中とは、脳の血管の血流障害が原因で起こる病気の総称です。主に、脳の血管が詰まる「脳梗塞」と、血管が破れて出血する「脳内出血」「くも膜下出血」に分けられます。
脳卒中を予防するには、まず、危険因子を減らすことが重要です。このあと紹介する危険因子を持っている人は医療機関を受診し、治療に努めて下さい。また、食生活をはじめとする、生活習慣の改善も極めて大切です。
■危険因子を取り除く
①高血圧…定期的に測定し、塩分摂取を控え、適度な運動を続けましょう。血圧が高いまま放置していると、脳卒中の危険が高まります。 ②糖尿病…食事および運動療法で血糖値をコントロールします。重症であれば、内服薬やインスリンで治療します。 ③高脂血症…血液中のコレステロール値を低下させるスタチン系の薬を内服します。動脈硬化の進行を防ぐので、心筋梗塞の発生率も減少します。 ④心房細動…高齢になると、不整脈が原因で脳梗塞を発症する人が急増します。不整脈の主な原因は心房細動です。65歳以上の方は、ワーファリンなど、血液を固まりにくくする薬が効果的です。
■生活習慣を改善する
①食生活…あらゆる危険因子を予防するためにとても重要です。理想的な塩分摂取量は1日5〜7gとされていますが、多くても1日10gを超えないようにします。また、過剰な糖質(炭水化物)は中性脂肪となって、体内に蓄えられ、肥満の原因となります。高血圧、糖尿病、高脂血症といった危険因子を減らすためにも、肥満解消は必須です。食事は、多くの種類の食品をバランス良くとるようにしましょう。
②運動…ウォーキング、ジョギング、自転車、水泳などの有酸素運動を継続して行い、肥満を予防します。
③喫煙、飲み過ぎ、過労・ストレス、睡眠不足…いずれも脳卒中のリスクを高めることが明らかになっています。生活リズムを整え、解消に努めます。
④脱水…高齢者は脱水状態になりやすく、血液の流れを悪くする要因となります。腎臓や心臓に病気のない方は、日ごろからこまめに水分補給をしてください。夏の多汗、嘔吐・下痢、発熱時はさらに注意を。
⑤定期的な検査…症状の出ていない脳卒中や、脳卒中になりやすい状態になっていないか、MRIや心電図、血液検査などで調べます。結果によっては、薬で加療する場合があります。
後遺症を軽減するためには、早期発見・早期加療も必要です。なお、脳卒中の症状が出たら、ただちに救急車を呼んで、医療機関を受診して下さい。
(ニュース和歌山2015年7月25日号掲載)