◆外科

楽クリニック 藤田 定則院長 

 

 

 A.  下肢静脈瘤は、静脈内の血管の弁が壊れたことが原因で発症します。足で使われた血液がうまく心臓へ戻れず、血管内に溜まってしまうために血液の流れが悪くなります。このとき、血管内に血液の固まり(血栓)ができることがあり、血管を詰まらせたりします。これを「血栓性静脈炎」といいます。静脈炎のなかには重症化するものもあり、時には、血栓が血液の流れにのって心臓に向かって飛ぶこともあります。

 しかし、血栓が頭まで至ることは極めてまれです。通常、血栓は、心臓の次に肺にひっかかります。頭まで行くのは、心臓の壁に小さな穴が開いていて、なおかつ、血栓がその穴を抜けて、頭の血管を詰まらせる非常に珍しいケースに限られます。このようなことから、足の血栓が頭まで飛ぶことを理由に、下肢静脈瘤の治療をすすめることはありません。

 逆に、足に血管のコブがあり、足が重くだるい、毎日こむら返りがする、皮膚が黒ずんだ部分がかゆい、足にできた潰瘍がなかなか治らないという人は、下肢静脈瘤の治療が必要です。最近では、高齢の方でも、日帰りで治療を受けている方がたくさんおられます。あまり悩むことなく、心配なときは、お気軽に医師にご相談下さい。

(ニュース和歌山2015年7月25日号掲載)