40歳代男性。テニスのプレー中にふくらはぎを痛め、病院で診てもらったところ、医師から「肉離れ」と言われました。肉離れを起こした際の対処法や予防法を教えてください。

…   …   …   …   …   …

《回答者》
リハビリテーション科
今村病院リハビリテーション部
作業療法士
綿谷 翔太先生

 テニスで生じやすいスポーツ傷害の一つで、ふくらはぎの筋肉(特に内側)の肉離れのことを「テニスレッグ」といいます。スポーツをする中高年に多く発症し、ジャンプやダッシュ、切り返しといった瞬発的動作の際に、筋肉の一部が断裂することで起こります。筋肉の柔軟性や筋力の低下、筋疲労なども原因となります。

 症状は、鋭く、力が抜けるような痛みです。内出血や腫れ、熱感なども見られます。

 テニスレッグの対処法は、内出血や腫れ、痛みを抑えること、つまり①安静 ②冷却 ③圧迫 ④足の挙上です。

 具体的には、まず安静にした上で、患部を氷嚢で15~20分間冷却し、包帯やタオルを用いて圧迫固定を行いながら、患部の下にクッションを敷いたり椅子を使って足を心臓より高い位置に挙上します。これを受傷直後から2〜3日間繰り返します。圧迫を行う上での注意点は、循環障害を避けるため、しびれが出た場合は圧迫を弱めたり、処置を中断してください。

 

ストレッチで筋肉の柔軟性向上

 次に、痛みが軽減してから行うストレッチを2種類紹介します。テニスレッグの予防にもなります。

 図1は、壁に手をつき、足を前後に開きます。体重を前にかけ、後ろ足のふくらはぎをゆっくりと伸ばしていきます。膝は曲げない方が効果的です。図2は、片膝立ちの姿勢から、膝を抱え込むように前足に体重をかけ、足首よりのふくらはぎを伸ばします。以上2種類のストレッチを1回20秒、1日3セット行うことでふくらはぎの疲労を軽減し、筋の柔軟性を向上させることができます。なお、ストレッチ中に痛みを感じる場合は、無理に行わずに中止してください。

 スポーツの再開までには少なくとも3週間は必要です。自己判断で行わず、痛みや違和感がある場合は、お近くの病院を受診し、まず専門医に相談するようにしてください。

(ニュース和歌山/2021年3月28日更新)