《回答者》
消化器外科・一般外科
福外科病院
消化器外科専門医
大腸肛門病専門医
消化器病専門医

福 昭人院長

 多量の血便が突然に起きるときは、「大腸憩室出血」の可能性があります。

 憩室とは、大腸の粘膜が袋状に突出したものをいい、食物繊維の少ない食生活や加齢に伴う大腸の衰え、便秘による腹圧の上昇などが原因といわれます。患者数は、05年には7千人ほどでしたが、17年には1万6千人にまで増えています。中高年に多く発症し、年齢が上がるにつれて増加する傾向にあります。大腸がんとの因果関係は明らかではありません。

 憩室の大きさは直径2〜3㍉から10㍉前後がほとんどで、一人にできる数は30個程度が通常です。普段は無症状ですが、憩室の部分の粘膜は薄く、傷が生じやすくなっており、そこに大便が詰まると炎症を起こしたり、血管に傷がついて突然に大量出血します。

 治療は、止血剤の点滴や内視鏡を用いてクリップで止血します。予防には食生活の改善が必要です。まずは大腸肛門病専門医にご相談ください。

(ニュース和歌山/2021年4月25日更新)