《回答者》

貴志川リハビリテーション病院
手・足の外科センター
整形外科専門医 手外科専門医
谷口泰德 副院長・センター長

 タオルを絞ると肘の外側に痛みが出現する病気として、上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)が考えられます。「タオルを絞る」のほかに、「ドアノブを回す」や「物をつかんで持ち上げる」などの動作で強い痛みを感じます。しかし安静時の痛みは強くありません。また、中年のテニス愛好家がこの病気になることが多いので、テニス肘とも呼ばれます。

 原因は、手首を反らすときに使う筋肉(短橈側手根伸筋腱たんとうそくしゅこんしんきんけん)が肘の外側に付着している部位で障害されて発生します。腕を良く使う仕事、スポーツなどで筋腱に炎症を起こし、発症します。

 診断は、「肘外側部をおさえて痛みがあるか?」「誘発テストを行って痛みが再現されるか?」で判定します。レントゲン写真は多くの場合、肘に異常は認めませんが、慢性化して進行している時は骨に変化が見られます。

 治療は、まず原因となっている作業、スポーツをひかえ、装具着用、湿布、薬物投与を行います。痛みが強い場合は、ステロイド入りの局所麻酔剤を注射します。保存療法を行っても改善しない場合には手術することがありますが、保存的治療で殆どは改善するので、手術を勧めることは希です。

(ニュース和歌山/2021年5月22日更新)