《回答者》

貴志川リハビリテーション病院
手・足の外科センター
整形外科専門医 手外科専門医
谷口泰德 副院長・センター長

 この方の病気は指の第一関節にできる指粘液嚢腫と思われます。指粘液嚢腫は手指の第一関節にゼリー状の粘液で満ちた大きさ5㍉ぐらいの腫瘤ができる良性の病気です。見た目は水ぶくれのようで、痛みはありません。腫瘤のできる場所によっては爪が圧迫され変形してきます。腫瘤が割れて粘液が流れ出ることもあります。

 原因は不明ですが、第一関節内でヒアルロン酸が過剰産生されるタイプと滑液が貯留して膨らむタイプがあります。手をよく使う中年以降の女性に多くみられる傾向があります。第一関節が変形するヘバーデン結節に合併することもあります。

 治療は注射針でゼリー状の内容物を抜き取ったり、ステロイド剤を注入したりしますが、再発することが多いです。再発を繰り返す時は手術により腫瘤の摘出をします。皮膚が非常に薄い場合には周囲の皮膚を切開して移動することもあります。第一関節の変形より発生したときは骨棘(骨のトゲ)も削除する必要があります。水ぶくれを自分で針を刺して潰したりすると、そこから細菌が入り化膿することがあります。安易に自己治療せず、まずは手外科専門医の先生にご相談下さい。

(ニュース和歌山/2021年7月24日更新)