《回答者》
外 科
楽クリニック
藤田 定則院長

 軽度の下肢静脈瘤であれば、血管が少し浮き出て見える程度なのですが、進行とともにこむら返りやだるさ、痒みの症状が出現します。重症化すると、血流の悪化から、膝下、特にくるぶし周囲が色素沈着により茶褐色になります。そのまま放っておくと、皮膚がただれて滲出液がにじみ出たり、潰瘍ができて皮膚に穴が開いたりします。

 静脈瘤が原因の潰瘍は、皮膚状態が重症であっても痛みが少ないのが特徴です。しかし、血液や浸出液が出て、感染症のリスクが高まり、生活に支障がでてくるので治療が必要です。

 潰瘍治療はまず、医療用の包帯やストッキングで足に圧力をかけて履く圧迫療法を行います。そして、足表面の血管に停滞している血液を足の奥(深部)にある血管に押し戻し、血流と皮膚症状を改善させます。基本的に消毒は不要で、患部を洗浄して圧迫します。必要に応じて、飲み薬や塗り薬を使用することもあり、潰瘍の改善状態をみながら、原因である静脈瘤の治療の計画を進めていくことになります。

 静脈瘤があり、色素沈着や潰瘍を認める状態は、かなり進行しており重症です。圧迫療法や下肢静脈瘤治療を行っている医療機関を受診しましょう。

(ニュース和歌山/2022年2月26日更新)