《回答者》
◆整形外科
貴志川リハビリテーション病院
手・足の外科センター
整形外科専門医  手外科専門医
谷口 泰德副院長・センター長

 偽痛風(ぎつうふう)は痛風と名前がよく似ていますが、まったく別の病気です。偽痛風は痛風と同じような関節炎を起こしますが、原因が異なるので偽痛風と呼ばれます。痛風は尿酸結晶が原因で高尿酸血症の人に症状を起こしますが、偽痛風はピロリン酸カルシウム結晶の関節内への沈着が原因で、強い関節炎が起こります。痛風は男性に多く肥満や高血圧などの生活習慣病と関連があります。一方、偽痛風は若い人には稀で生活習慣病とは関係は無く、60歳以上の高齢の女性に多い傾向があります。

 偽痛風の症状は急に発症する関節の強い痛み、腫れ、熱感などの発作です。関節炎の発作は、手関節、膝に多くみられます。高齢者の急性の強い関節炎は、まず偽痛風が疑われます。

 X線検査で手関節に石灰化像、血液検査で炎症の陽性所見を認めます。細菌感染による関節炎との鑑別のために、細菌培養検査を行うこともあります。診断がつけば、手首の偽痛風の治療は容易で保存的治療で確実に治ります。消炎鎮痛剤の内服でも痛みは改善しますが、ステロイドの関節内注射は大変良く効きます。注射をすると速やかに関節の痛みと腫れは治まります。詳細は手外科専門医の先生にご相談下さい。

(ニュース和歌山/2022年7月23日更新)