《回答者》
◆整形外科
貴志川リハビリテーション病院
手外科専門医・足の外科専門医
整形外科専門医
谷口 泰德 副院長

 足の親指の付け根の裏側には2つの小さなタネの様な骨があり、母趾種子骨(ぼししゅしこつ)と呼ばれます。この母趾種子骨に障害がおこると痛みや腫れがでて、足の親指を上に反らすのが困難になり歩行やランニングに支障がでます。原因はスポーツや仕事で強いストレスが繰り返し足裏の母趾種子骨にかかり障害が発生します。陸上競技、バスケットボール、野球などよく走るスポーツや床を踏み込む動作が多いダンスや空手、剣道などにも見られます。主な痛みの要因は種子骨の炎症、骨折などですが、生まれつき種子骨が2つに割れている場合があり、これも痛みの原因になります。

 足のレントゲン検査、CT、MRI検査が診断に有用で、これらの検査で種子骨に分裂などの異常が発見されます。治療はまず原因となったスポーツ活動や労働などを制限し、ステロイド剤を局所注射します。母趾の付け根の裏側への負担を減らすために、足底板を作成し装着します。保存的治療で改善せず痛みが強いときは手術になります。手術は痛みの原因となっている種子骨を切除しますが、数週間で元に復帰できます。この骨を取っても問題はありません。詳しいことは足の病気の専門医にご相談ください。

(ニュース和歌山/2023年7月22日更新)