《回答者》
◆外 科
楽クリニック
藤田 定則院長

 夏場は水分の摂取量が増え、軟便になる方がおられます。形のない便は、排便時に力を入れなくてもスッと出て、楽な感じがします。しかし、軟便は、一般的に排便回数が多くなるため肛門に負担がかかりますし、直腸内から出きってしまわないことから残便感や違和感などを引き起こします。

 また、軟便や下痢はきれいに拭き取ることが難しいため、何度も強くこすり拭きをしたり、温水で洗ったりしがちです。刺激の強い腸液を含んだ軟便や下痢で弱ってしまった肛門をさらに強く洗浄すると、皮膚を保護するバリア機能が失われ、肛門が切れて炎症を起こし、膿が溜まってしまうなど、状態悪化の原因となります。

 つながった適度な硬さがあるバナナ状の便を、毎朝すっきり出すことで問題は解消していきます。まずは良い便を出すために、食物繊維の多い食事を摂るようにします。一方で、乳製品などが体に合わず、お腹を下している人が多くいます。便通改善や健康のためにと飲んでいる野菜ジュースや牛乳、ヨーグルト、豆乳などで軟便になっている人もいますので、心当たりのある方は控えましょう。便通コントロールにより腸や肛門の調子が整い、違和感はなくなっていくでしょう。

(ニュース和歌山/2023年8月26日更新)