《回答者》
◆総合診療科・外科
貴志川リハビリテーション病院
西村 和彦院長

  お口の中には多くの細菌が棲んでいます。歯と歯肉の境目の歯磨きが不十分だと、そこに停滞した細菌が「歯垢(プラーク)」と呼ばれるネバネバした物質を作り出し、歯の表面にくっつき、虫歯や歯周病を引き起こします。歯垢を放っておくと歯肉が炎症を起こして赤く腫れ、さらに進行すると出血したり膿が出たりし、やがて歯を支えている骨を溶かし、歯がグラグラと動くようになって最終的には抜け落ちてしまいます。

■歯周病セルフチェック

 そこで、歯周病のセルフチェックを紹介します。

【全体】 

①口臭が気になる。周りから指摘される。 

②起床時に口の中がネバネバする。 

③歯磨き後に出血する。

【歯肉の症状】

①歯肉が赤く腫れる。

②歯肉が下がり、歯が長くなった気がする。 

③歯肉を押すと血や膿が出る。

【歯の症状】 

①歯が浮いたような気がする。 

②歯並びが変わった気がする。

③歯が揺れている気がする。  

 当てはまる項目はありましたか? 一つでも該当していれば、早めに歯科を受診しましょう。

歯周病が全身に及ぼす影響

 中高年に多く見られる歯周病は、放置していると歯周病菌から毒性物質が放出され、それが歯肉の血管から侵入して全身をめぐり、様々な炎症を引き起こします。その結果、悪影響が全身に飛び火し、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞などの病気が発症したり、悪化します。ほかにも、骨粗しょう症や認知症、誤嚥性肺炎になるリスクも指摘されています。

 糖尿病との関係も見逃せません。歯周病菌が原因の炎症によってインスリンの働きが悪くなし、血糖値が上昇。免疫機能が低下し、歯周病がさらに悪化するという悪循環に陥ります。

■生活習慣の改善と歯科検診

 歯周病予防は、原因となる歯垢をためない、増やさないことが基本です。具体的には、食生活を含めた生活習慣を見直すことと、少なくとも年に一度、できれば半年に一度は歯科を受診し、口腔ケアを受けることが望まれます。毎日の正しいブラッシングも欠かせません。

 近年、歯周病治療は急速に進歩しています。早期発見・早期治療、メンテナンスで、健康寿命を伸ばしましょう。

(ニュース和歌山/2023年9月23日更新)