《回答者》
◆消化器(内科・外科)
上中クリニック
上中 博之院長

 ピロリ菌はロビン・ウォレン博士とバリー・マーシャル博士によって発見・研究され、その功績に対し2005年、ノーベル賞が授与されました。

 ピロリ菌は、胃がんの原因のひとつです。また、日本のピロリ菌は、東南アジアやインドのピロリ菌に比べ、発がんしやすいことが分かっています。年齢により感染率が大きく異なり、上下水道が完備されていなかった時代に生まれた50歳代から上の人では、感染率が80%前後に上ります。

 日本ヘリコバクター学会では、すべての感染者の治療を推奨しています。検査は、内視鏡を使う方法と使わない方法、計6種類あり、内視鏡を使う方法では、胃の中の様子も観察できます。除菌は、抗菌薬と胃酸の分泌を抑える薬を1日2回、7日間服用します。胃潰瘍・十二指腸潰瘍の方のほか、内視鏡検査で慢性胃炎と診断された方も健康保険による除菌治療を受けられます。ピロリ菌を除菌すると、新しい胃がんが発生する確率を減らすことができる可能性があります。また、口臭がひどいとか、すぐに下痢をするなどの過敏性腸炎の症状がピロリ菌の除菌により治った患者さんも多くあります。気になる方は、一度相談されてみてはいかがでしょうか。

(ニュース和歌山/2024年1月28日更新)