60歳代の主婦です。20年ほど前から腰痛があり、常に痛みや不快感に悩まされています。腰痛の原因は何でしょうか。また、日常生活における予防法なども教えてください。


《回答者》
◆総合診療科・外科
貴志川リハビリテーション病院
西村 和彦院長

 腰痛にお悩み方は多く見られます。ところが、原因を特定できる「特異的腰痛」は、患者全体の約15%に過ぎません。

 主な原因には、▽背骨の神経の圧迫(10%)=腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニア、骨粗しょう症など▽内臓の病気(2%)=慢性膵炎、腎盂腎炎、尿管結石、前立腺腫瘍、胃・十二指腸潰瘍、子宮内膜症、子宮癌など▽脊椎の病気(1%)=化膿性脊椎炎、脊椎カリエス、がん(特に肺癌や前立腺癌)の骨への転移、腰椎の圧迫骨折などが挙げられます。また、脊髄腫瘍、心筋梗塞、解離性動脈瘤でも、腰や腹部に突発的な激痛が走ります。

 このように腰痛は、重大な病気が原因で起こる場合があります。医療機関を受診し、早期発見に努めましょう。

 また最近は、ストレスが原因の心因性腰痛も目立ちます。痛む部位や程度が日によって変わるという特徴があるので、医師に症状をお伝えください。

 一方で、残りの約85%は、原因を特定しにくい「非特異的腰痛」です。一般に腰痛症や坐骨神経痛などと診断されます。

危険度から見た 腰痛セルフチェック

あなたの痛みは、次の項目に当てはまりますか?

 ①じっとしていても痛む…危険度大(重い脊椎の病気や内臓の病気の可能性)

 ②背中が曲がってきた…危険(骨粗しょう症で背骨の圧迫骨折の可能性)

 ③お尻や脚が痛む・しびれる…要注意/脚のしびれにより長く歩けない…要注意(腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなどの可能性)  

 ④体を動かしたときだけ腰だけが痛む…あまり危険なし(しかし症状が悪化したり、痛みが続く場合は、早めに整形外科を受診してください)

【腰痛の予防法】

 生活の中にある「腰痛の原因」を取り除きます。特に、デスクワークが多い人は座る姿勢を改善し、腰に負担がかからない座り方を身につけることが大切です。また、時間を見つけてこまめに体操やストレッチをし、体の柔軟性を保つよう心がけます。

 さらに、適度な運動(有酸素運動)を習慣化し、腰痛になりにくい体を作りましょう。

(ニュース和歌山/2024年4月27日更新)