海の妖怪
怖さ:2
出没地域:みなべ町

 寛政年間、弥三郎という若者が鹿島の近くで貝を拾うお清に一目ぼれし、恋に落ちた。二人は親の目を盗んで逢引きしたが、両家の親は交際を許さなかった。思いつめた二人は、あの世で一緒になろうと互いの足を結んで海に飛び込んだ。すると鹿島の神の力か、二人は半人半魚となって海に消えた。それからどのくらい経っただろう。鹿島の沖で漁師の網に年老いた夫婦の人魚がかかった。漁師は哀れに思い、それをミイラにし、近くの神社に祀ったという。そんな口上で、厨子に入った人魚のミイラを見せながら、女の鱗は浮気封じ、男の方は恋守りとして、鱗を売っていたそうだ。40年位前の話。

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(ニュース和歌山/2025年6月21日更新)