和歌山市寄合町で開業して44年、多くの人に愛される喫茶店です。亡き夫が開いた店と味を、宍野良子さん(78)が守ります。名物はカレー。中でも「オムカレー」がSNSで話題になり、新たなファンが増えています。夫婦で作り上げた味について伺いました。
こだわりの内装 変わらぬ雰囲気
1981年4月、鹿児島県出身の故・宍野哲郎さんがタプロースを開業しました。哲郎さんはレストランなどで料理の腕を磨いた後、和歌山へ。企業に属する料理人でしたが、「自分の店を」と決意して独立。店名はスコッチウイスキーが由来です。良子さんは寝耳に水で驚いたものの、夫に寄り添い、切り盛りしてきました。凝り性だった哲郎さんは内装にもこだわり、当時は珍しいコンクリート打ちっぱなしの壁に、大きなスピーカー。今もほとんど手を加えず、創業当時の雰囲気を残しています。
名物のカレーはお客さんが依頼して生まれたメニューです。料理が大好きな哲郎さんは、具材はタマネギのみとシンプルだけれど、時間をかけた仕込みと、カレー粉やコショウ、砂糖などの調味料を繊細に重ねるバランス調整で、マイルドな甘味のカレーを作り上げました。「明確なレシピはなく、分量より感覚が大切だと教わりました。夫の入院中に調理を引き継いだのですが、私の感覚を磨くため試作を繰り返し、助言をもらいました」と良子さん。目指したのは、何度も食べたい「いつものカレー」。提供当初から週末限定で、常連客が待ち望むメニューでした。
映える大きな肉 SNSで話題
人気の「オムカレー」もお客さんの発案です。ピリッとスパイスが効いたドライカレーをまろやかなカレーと卵が包み込み、相性バッチリ。お皿いっぱいのボリュームなのにペロリと食べられます。大きな牛肉が目を引くビジュアルは、写真映えも抜群。「SNSで見つけてくれた若いお客さんが増え、賑やかになりました」。
現在は週末3日間の営業ですが、仕込みや買い出しで、お店中心の生活を続ける良子さん。「じっとしているより、忙しい方が元気です。娘やスタッフ、お客さんたちに支えられ、仕事が好きだった夫の店を守り続けます」。目標は開業50周年を迎えること。これからも変わらぬ温もりと味わいを守り続けていきます。
タプロース
和歌山市寄合町32
電話 073-432-5017
営業時間 7:30~17:00
㊡月曜~木曜
(ニュース和歌山PLUS128号/2025年11月28日発行)
※記事は2025年11月28日時点です。
内容が変更になっている場合がございますので、ご利用の際は事前にご確認下さい。



























