どんな場所にも魔法のような光が差し込む素晴らしい瞬間があります。忙しい日々の生活のなか、ふと立ち止まってみると、その瞬間に出合うのかもしれません。和歌山市には地中海沿岸の村を彷彿(ほうふつ)させるような、夕陽が見える場所があります。雑賀崎はまさにそのような所です。そのスケールと自然環境は日本の海岸の中でも特徴的で、保護されなければなりません。残念ながら、人間の手により開発されてきた部分もあります。しかし、雑賀崎には漁村ならではの趣が残り、人々の生活が息づいています。漁村を観光資源として生かし、住民の生活とうまく融合させることができれば、雑賀崎は和歌山にとっての宝石となり、輝きを増すでしょう。

※ニュース和歌山本紙、第2・4水曜号掲載。次回は11月11日号です。

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サイモン・ワーン(Simon Wearne)

オーストラリア出身の写真家、映像ジャーナリスト。2008年に来日し、和歌山大学観光学部の特任助教を務めるかたわら、太地町の捕鯨文化をユネスコの産業遺産に登録するため、文化財の独自研究と調査を進めている。

(ニュース和歌山2015年10月28日号掲載)