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 1月の冬の曇り空では、太陽を見つけることは難しいかもしれませんが、いつもどこかに温かい眼差しを向けてくれています。

 風が吹き荒れる嵐の日、加太では漁師が港にとどまり、ロープは巻き上げられ、漁網は壁にかけられます。全ての物をくくりつけ、嵐が過ぎ去るのをじっと待ちます。せわしい時も静かな時も、加太には輝きを放つ個性があります。映画や写真撮影のセットのようにユニークで、あらゆる物にストーリーが宿っている町です。加太に住む人々は雨の日でも年中働き、休むことはないようです。

 この写真は先週、撮影しました。あいにくの悪天候で、網は魚を捕まえに行っていませんでしたが、まるでカメラマンのように太陽の光を捕らえていました。この町は、あらゆる物が飾り気がないように見えます。それが私にはとても美しいです。

(ニュース和歌山2016年1月27日号掲載)

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2015072202saimoサイモン・ワーン(Simon Wearne)

オーストラリア出身の写真家、映像ジャーナリスト。2008年に来日し、和歌山大学観光学部の特任助教を務めるかたわら、太地町の捕鯨文化をユネスコの産業遺産に登録するため、文化財の独自研究と調査を進めている。