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 和歌山城一帯は、季節や時間により異なる表情を見せてくれます。どういうわけか、お城には私たちの心を幸せで満たす音や光景があふれているのです。
 市街地では、皆が庭を持てるわけではありません。この場所に人が自然と身体を動かしに来ます。堀の周りを走ったり、サイクリングをしたり…。犬の散歩をする人、ウォーキングをする人もいます。疲れたらお城の中で休むことも。
 人だけでなく、鳥たちも集まって来ます。ここに巣を作り、身体を休めているのでしょうか。時にさわがしく鳴くこともあれば、同じようにここをすみ家にする猫から逃れ、ひっそりと息をひそめる鳥もいます。
 立ち止まり、耳を澄ますと、たくさんのことに気づくでしょう。ここの森には驚くほどの美しさがあります。様々な人や動物の命が集まり、まちの中心になっています。もうすぐ、和歌山城に最も美しい季節がやって来ます。春とともに新しい生活がまた始まります。

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2015072202saimoサイモン・ワーン(Simon Wearne)

オーストラリア出身の写真家、映像ジャーナリスト。2008年に来日し、和歌山大学観光学部の特任助教を務めるかたわら、太地町の捕鯨文化をユネスコの産業遺産に登録するため、文化財の独自研究と調査を進めている。

(ニュース和歌山2016年3月23日号掲載)