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 5月以降、県内河川で解禁されるアユ釣り。縄張り意識の高い習性を生かし、おとりのアユに糸を付けて泳がせ、攻撃に来たアユを掛け針で釣り上げる独特の「友釣り」が魅力だが、最近は全国的に愛好家が減っている。特に若い世代が少ないことから、県内水面漁業協同組合連合会は一昨年から18歳以下、さらに昨年は7、8月に限り30歳以下を無料にし、入門者対象に「アユ竿(ざお)0円レンタル」も始めた。加えて今年は「友釣り塾」を新企画。若い世代に魅力を知ってもらおうと、あの手この手で取り組みを進める。

 同連合会によると、県内のアユ釣り客は1990年代がピーク。年券(※上参照)販売数は94年が約1万6000枚だったが、ここ5年は7000枚前後と20年間で大きく落ち込んだ。業務主任の小峠利勝さんは「特に30歳以下に顕著。道具一式で最低でも10万円かかることが大きい」と話す。

 こうした状況を打開するため、同連合会は一昨年、18歳以下の遊漁料を無料に。さらに昨年は竿など釣り具4点の無料貸し出しに加え、「AYU友U30」と題し、30歳以下は事前登録すれば7月と8月、友釣りが無料でできるようにした。申請者は近畿を中心に236人。女性も29人いた。アンケート調査では回答者の97%が「友釣りを続けたい」と好評だった。

 昨年無料登録し、友釣りデビューを果たした一人が和歌山市の宮本篤さん(30)。紀南中心に約20回足を運んだ。「友釣りはおとりが思った通りになかなか動いてくれない分、ねらい通りにいった時は快感。これからも長く楽しみます」。同じく昨年が初挑戦だった橋本市の谷口彰宣さん(28)は「紀の川本流の速い流れの中での、おとりと釣れたアユ2匹分の引きの強さは魅力。今年も行きます」とはまった様子。

 アンケートで「指導してくれる人がいるか」との質問もしたところ、「いる」と答えたのが84%だった。「逆に言えば、教えてくれる人がいない人にはまだアユ釣りはハードルが高いということ」(小峠さん)と分析。今年、18歳以上の初心者対象に「友釣り塾」を新たに企画した。5月15日、22日、29日の各日曜、有田川や日高川で、アユ釣り全国大会優勝経験者らの指導を無料で受けられる。講師を務める有田川町の宮井孝和さん(55)は「生きたアユを使い、ケンカをさせて釣るのが他にない面白さ。合う、合わないはあると思いますが、まずは一度体験してほしい」と呼びかける。

 一部区域でルアーによる友釣りを2年前に解禁(要遊漁券)した貴志川漁協のように、独自で新たな愛好者獲得に取り組むところもある。同漁協は「ルアーでバス釣りをしている中高生らにもアユ釣りの魅力を知ってほしいですね」と願う。

 友釣り塾は4月20日まで、AYU友U30は5〜7月に申し込み受け付け。詳細は県内水面漁協連合会(0736・66・0477)かHP参照。

写真=生きたアユをおとりに使う方法はアユ釣り独特だ

県内のアユ釣り…紀の川、貴志川、熊野川など県内13河川には、稚魚を放流したり、掃除したりと川の水産資源保護に務める漁協がある。アユ釣りには各漁協が発行する遊漁券が必要で、1日有効の日券は2000〜3000円、1年間使える年券(※)は5000〜1万3000円と川により異なる。釣り期間も川ごとに決められている。

(ニュース和歌山2016年4月16日号掲載)