海や川、湖で長距離を泳ぐ競技、OWS(オープンウォータースイミング)。7月16日(土)~18日(月)にオランダで開かれるOWS世界ジュニア選手権に、パルポートワカヤマ(和歌山市湊御殿)所属の宮本竜成選手(和歌山工業高校1年)が日本代表として出場する。「最初はみんな飛ばすと思うので、第1集団に食らいつき、ラストで突き放せれば。優勝をねらっていきたい」。目標は頂点だ。

 160709_swm海南市に住む宮本選手は、近所のスイミングスクールに3歳から通い始めた。小学校時代までは全国大会に縁がなかったが、パルポートワカヤマに移った中学1年以降、頭角を現し始めた。3年の全国中学校水泳競技大会では1500㍍自由形で2位、400㍍自由形で4位に。地元での紀の国わかやま国体でも少年B(中3、高1対象)400㍍自由形で6位入賞を果たした。

 高校1年になった今年5月、社会人や大学生も出場するジャパンオープン1500㍍自由形で自己ベストの15分40秒08を出した。高校生の中で4位となり、OWS世界ジュニア選手権日本代表に選ばれた。

 OWSで初めて出場した大会が6月26日に鳥取県米子市で開かれた「中海OWS」。160709_swimkao5㌔を1時間1分で泳ぎ、一般参加者もいる中で32選手中3位に入った。「プールで行う競泳種目のように1人1コースではなく、コース取りでじゃまし合ったり、あごに他選手のひじが当たったり。初めてなので面食らいました」。波や潮の流れ、風の影響を受けるのも難しさ。他選手のすぐ後ろを泳いで水の抵抗を少なくするなど、独特の戦術が求められる。

 世界選手権は7・5㌔で競う。目標は1時間30分を切ることだが、「波のある中での競技、タイムは目安程度にしかならない。重要視するのは順位です」。トップでゴールするため、毎日7㌔前後を泳ぎ込む。パルポートワカヤマの指導者で、世界選手権に強化スタッフとして同行する楠本一彦さんによると、宮本選手が優れているのは、水をかく際の指先の使い方。「手が水に入る瞬間、指先に空気がついたままだと空かきになり、うまく力が伝わらない。彼は入水時、その空気を取り除くのがうまい」と評価し、「日本代表の選手だという意識を持ち、あきらめることなく最後まで泳ぎ切ってほしい」とエールを贈る。

 将来的に見据えるのは同じ和歌山出身の山本耕平選手が持つ1500㍍自由形の日本記録14分54秒80を塗り替え、中国の孫楊選手が持つ世界記録14分31秒02に迫ること。宮本選手は「五輪にも出たい。出るだけで満足せず、決勝まで残り、日本に貢献したい」と目を輝かせている。

(ニュース和歌山2016年7月9日号掲載)