160723_pic2 全国の被災地を撮影する有田市の写真家、照井四郎さん(写真下)が復興支援写真展「熊本地震・1ヵ月目の記録」を7月24日(日)から和歌山市本町のフォルテワジマ4階で開く。被災現場と復興に向かう姿を切り取った74枚を展示。「発生から3ヵ月以上経った今も余震が続いている。惨状を知り、支援の目を向けてほしい」と願う。

 秋田県出身の照井さんは熊野の自然に魅了され1970年に和歌山へ移住。フォトスタジオを経営するかたわら、熊野の森と海、人々を撮り続ける。一方、「記録に留めるのが写真家の使命」と自然災害に目を向け、雲仙普賢岳の火砕流や阪神・淡路大震災、東日本大震災、紀伊半島大水害といずれも現場へ駆けつけ、写真に収めてきた。現在も毎年、阪神・淡路大震災が発生した1月17日に神戸を訪れ、東日本大震災の被災地へは年4回足を運び、復興の軌跡を追いかける。

 熊本県合志市へ嫁いだ娘と孫が震災後の3週間、和歌山に一時避難したため、照井さんは発生1ヵ月後の5月14日~18日に熊本へ。震度7を記録した益城町、大規模ながけ崩れが発生した南阿蘇村、熊本城などへ車を走らせ、4日間で4000枚、全壊した家やひび割れた道路、避難所や車中で過ごす人々を撮影した160723_pic

 録音機を回し、被写体となる人と話しながらシャッターを切るのが照井さんのスタイルで、熊本でも現地を歩いて出会った人々を取材。妻が生き埋めになった家の前にたたずむ男性、畑を耕して復興への一歩を踏み出す農家にカメラを向けた。展示する際は写真に現地で取材した声を添える。

 「災害の記録が世の中に残り、教訓にしてもらえれば写真家みょう利に尽きる。南海トラフ地震の発生が懸念される和歌山も他人ごとでない。危機感を持ち、防災意識を高めるきっかけにしてほしい」と力を込める。

 8月2日(火)まで。午前10時~午後7時(最終日5時)。東北や神戸の写真5枚も展示。7月30日(土)午後1時から照井さんによる解説と現地報告がある。無料。実行委(0737・82・5952)。

写真上=1ヵ月後も放置されたままの被災家屋

(ニュース和歌山2016年7月23日号掲載)