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 木製の帳場金庫や配達用のぼて箱など、昭和初期から戦後にかけて使われていた古い道具を、海南駅前一番街商店街にある化粧品店、コスメティックハウスまつやが展示している。「街角の博物館」と名付けて店先に約30点並べ、道行く人の視線を集めている。まつや商店の松谷哲夫さん(68)は「商店ならではの珍しい物もあります。『こんな道具が昔使われていたんだなあ』と懐かしんでもらえれば」とほほ笑む。

 1926年に創業した同店は、石けんや化粧品を扱う小売業と卸業を営む。昨年秋に倉庫を整理したところ、松谷さんも知らなかった数々の古い道具を発見。「捨てるのはもったいない」と、解説を付け、10月に展示を始めた。

 創業当時の昭和元年から売上金入れとして使っていた金庫や釣り銭用の木製小銭入れ、客が見やすいようたまを大きくしたそろばん、自転車で配達していた時代に荷台へくくりつけたピンク色のぼて箱などが並ぶ。日本初と言われる昭和30年代の美容機器、1956年に行われたメルボルン五輪の協賛品として歯磨き粉メーカーが配った鉛筆といった化粧品問屋ならではのものもある。

 松谷さんは「商店街は若いころに比べて寂しくなりました。そんな中、女性や若者が盛り上げようとがんばってくれているので、街角での展示を通じ、少しでも活性化のお役に立ちたい」と張り切っている。

 午前10時~午後7時。木曜と第3水曜定休。まつや(073・483・1101)。

(2016年12月7日号掲載)