和歌山市プロジェクトチーム 薬草産地化目指す

 漢方薬の原料となる薬草の産地化を目指し、和歌山市が取り組みを進めている。昨年4月に試験栽培を始め、今年1月にはプロジェクトチーム(PT)を立ち上げて製薬メーカーからの情報収集を行う。チームを総括する市農業委員会事務局長の和田安弘さんは「国内で栽培が盛んな高知や静岡と和歌山は気候が似ている。栽培方法を確立すると共に、出口となる販売先を見つけたい」と意気込む。

161217_yakusou161217_yakusou PTは農林水産課、農業委員会、衛生研究所などに所属する13人で組む。チームによると、薬草は9割以上が中国からの輸入で、残りの1割ほどが国産。国内では北海道や岩手、静岡、高知ほかで栽培されており、農家がメーカーと契約して育てるケースが多い。

 和歌山市は同市明王寺の四季の郷公園近くにある畑で試験栽培する。育てているのは4種類。様々な漢方薬に重宝されるシソ、ミシマサイコ、コガネバナは風土的に和歌山市での栽培に適していると考えられ、もう1つのカンゾウは主に北日本で栽培されるが、使用頻度が圧倒的に高く、国内産の需要が高まっている。

 春先に植え、6~8月に収穫できるシソ。医薬品の規格基準書「日本薬局方」では、薬用シソの指標となるペリルアルデヒドの基準値を0・08%以上と定めるが、1年目は0・01%だった。異なる種を使った今年は0・50%と基準値を大きく上回った。

 将来的には、稲やみかんに代わる作物として、薬草栽培の構想を描く。農林水産課副主査の中居一樹さんは「シソは田でも栽培できるため、米の代わりに育てられ、収穫後にはホウレンソウやブロッコリー、白菜などの栽培が可能です。薬草が農家の収入安定、新規就農者増加、さらに耕作放棄地対策につながれば」と期待している。

(2016年12月17日号掲載)